シリンダーヘッドガスケットを自作しよう
古い車両をいじる時に困る点の一つとして、ガスケット類の廃盤という問題があります。
自分の乗っているラクーンも、シリンダーまわりのガスケットは廃盤。今年の夏くらいにはまだ純正部品の在庫があったのですが、どうももう売り切れてしまったらしい。というか最近までまだ売られてたという事実に驚きなのですが^^;
この記事では、ガスケットシートからの切り出しと、メタルガスケットの制作について触れていこうと思います。
まず紙のガスケットシートから。
シリンダーのベースガスケットやクランクケースのガスケットなんかは紙製ですから、汎用のガスケットシートを切り出せばそれでガスケットは作れます。
まず、前に仕入れた純正のガスケットの形を鉛筆で型どりして、スキャナーで取り込んでおきます。これでいつでも複製が可能です。
ガスケットをもっていない場合は部品からの型どりで型を取りましょう。
それをコピー用紙にスキャンして、上の写真の様にカッターで切りだします。
それを元にガスケットシートを切り出していきます。
キタコ(KITACO) ガスケットシート(0.5mm厚) ノンアスベスト材 960-0502005
これ、書くのは簡単ですが実際に切り出してみるとなかなかすんなりと行きません。
厚いガスケットほど切り出すのが難しいですし、切り出しても形が微妙に合わなかったりします。
まぁ、大体合ってれば漏れることはありません。
一番面倒なのはボルトの穴の部分。穴あけポンチなんかを使えば簡単に開くのかもしれませんが、ある程度良いものを買わないと全く切れないということになります。
自分はもう割り切って全てカッターで切りだしています。ガタガタでも意外と大丈夫です。まぁ、はみ出したりしてると見た目があまり良くないですけどね。
不安な場合は液体ガスケットを塗りたくってから貼り合わせてあげるとなお良しです。
キタコ(KITACO) 液状ガスケット 5G KC-027(シリンダーヘッド/ マニホールド用) 0900-969-00010
次はシリンダーヘッドなんかに使われるメタルガスケット。
極論を行ってしまえば、上のガスケットシートもこのメタルも液体ガスケットを塗りたくってあげれば案外何とかなるのかもしれませんが(自分はやったこと無い) やはり不安なのでちゃんと作ります。
使用するのはただの銅板。
ドレンワッシャーに銅が使われてますがそれと同じ感じです。
調べてみると、昔のヘッドガスケットは銅が一般的に使われていたらしい。
そのままだと固くて切り出すには不便なので柔らかくします。
銅は熱すると柔らかくなる性質があります。これを焼きなましと言うらしい。
うちの石油ストーブで暖を取りながら焼きなましました。
上の写真ではもう既にガスケットが切り出されてますが、これは何も知らない自分が焼なます前にガスケットを切り出したから。なましたあとに刃を入れたらびっくりするくらい柔らかいので「さっきの苦労は何だったんだ…」という感じです。
銅を柔らかくする、というのはガスケットのシール性を高める効果もあると思うので、これはやっておくべきだと思います。
切り出す方法はガスケットシートの時と同じ。しかし雑だな自分…。
予備のシリンダーに当ててみて穴の位置確認。だいぶ穴が大きいですがボアアップシリンダー用のガスケットを作ってるので大きめに作ってます。
そして組み付け、サイズがあんまり合ってないぞ…!!
銅ガスケットの両面に液体ガスケットを塗りたくっておくのを忘れない様に。
さいごに。
今回組み付けに当たりベースもヘッド側も自作のガスケットだったのですが、エンジンは問題なくかかりました。
車両が古くてガスケットが無い時、ボアアップキットを入れててガスケットが無い時、今すぐに修理したい時なんかに自作ガスケットが作れると非常に便利です。素材の厚みも自由に選べるのでポートタイミングを変える時なんかにも使えますね。
ありがとうございました。