AD02 ラクーン 腰下組み立てする
前回クランクベアリングが粉々になって不動となったラクーン。
腰上なら頻繁にばらしたりしていますが腰下は全く手をつけたことがない。
なので、これを良い機会に腰下OHに挑戦しました。
組み立てるだけなので、構造さえわかれば簡単!と思っていましたがとんだ大間違い。かなりの工夫と手順が必要でした。今回はそのポイントについて自分の覚書きとして、参考になるように書いていきたいと思います。
ちゃんとした整備方法とは違うと思いますがあくまでも自己流で。
1.クランクケースの分解
これは前回書いたのですがもう一度。40年近く無整備のエンジンはハンマーでコンコンと叩いたくらいでは割れません。
クランクセパレータで思いっきりこじ開けて、さらにハンマーで叩いてマイナスドライバーなどで楔を打ってなんとか分解できました。
2.ベアリングの引き抜き
クランクを抜くとおそらくケースにベアリングがくっついた状態で抜けると思います。これを抜くのにベアリングプーラーを使うのですが、必ずケースを100℃くらいにに温めてから抜かないと本当に抜けません。ケースに水を垂らして蒸発するくらいまで温めます。
ケースのくぼみに水を入れて温めています。
3.ベアリング・オイルシールの圧入
これが一番苦労しました。
よくネットで見たのが「ケースを温めて膨張させて」「ベアリングを冷凍して収縮させ」ベアリングが簡単に入る!というもの。
これ、自分もはじめて見たときは「なるほど!!!これなら楽そう」と思ったのですがそんな簡単にはいきませんでした。
確かにこの二つを行うと、何もしない状態よりもかなり入りやすくなるのですが、本当に垂直に入れられないと、斜めにベアリングがはまって抜けません。そのままケースが常温にもどったらもう大変。ケース膨張×ベアリング冷凍で入れられても、ケースとベアリングが一体化してしまうと、もうベアリングだけ冷やすことはできません。ケースを温めることはできてもベアリングも一緒に膨張してしまうのでかなり大変。
ここでかなり悩み、考え付いたのがクランクインストーラーを使用したベアリングの圧入方法。
字が汚いのは置いておいて……。長いボルトをベアリングに通してそれをクランクインストーラーで押し出し、ベアリングを圧入します。これ、驚くほどきれ~~にベアリングが入っていくんです。
もちろんケースの過熱とベアリングの冷凍をお忘れなく。
同様の手順でオイルシールも打ち込むことができます。ラクーンだとクランクのオイルシールがめちゃくちゃに固いので、このやり方じゃないと入りませんでした。(キックやシフトのオイルシールとは固さが違う)
6.ケースの組み立て
ラクーンをばらして分かったのですが、エンジンの構造がnsr50と全く同じでした。nsrならネットに情報は山ほど溢れていますし、組み立ての手順に悩むことはありませんでした。
blogs.yahoo.co.jp色々サイトを見てまわりましたがこのサイト様が詳しく手順を書かれていて、とても参考になりました。
ミッションのギアの順番なんかは必ずパーツリストとにらめっこしながら確実に組みます。
それで、肝心の組み立て手順なのですが自分はこの順番でないと組めませんでした。
①フライホイール側ベアリング圧入
③クラッチ側ベアリング圧入
⑤フライホイール側にクランクシャフト圧入
⑥フライホイール側にミッション、シフトドラム・フォーク挿入
→ケースを閉じる
まず、ベアリングは全てケースに入れてしまいます。シャフトにベアリングを入れてしまうとケースをはめるときにかなり苦労します。自分は出来ませんでした。
※ベアリング・オイルシール・クランクシャフトは全て1晩冷凍、ケースは温めておきます。
ミッションはフライホイール側のケースに最初入れてからケースを締めると合わせるのが楽ですね。
色々がちゃがちゃやって気を抜くと、こんな風にガスケットが破けます……。
仕方ないのでガスケットを自分で切り出す。もう慣れました。
ミッションまでケースにはめこんだ図
ケースのボルトは対角線上に、何回かに分けて締めこむ。
クランクシャフトのケースとの隙間は左右均等になるようにクランクインストーラーで合わせました。
7.完成
ここまでできればあとはクラッチ交換の時の手順と同じ!
ゴールも同然です。
1つ注意したいのがシフトのストッパーアーム?のはめこみ
固定のボルトにぴったりはまる部分まではめこみます。
今回、予備でなぜかシフトチェンジできないエンジンとニコイチしたのですが、原因が判明。シフトのカギがポッキリ折れてました…。
余談。圧入に失敗したクランクシャフトをハンマーでぶっ叩いて抜いたりしていたのですが、何も考えずそのまんま叩いてねじ山をダメにしてしまいました。
仕方ないのでダイスでねじ山を修正。初めてダイスを使いましたがけっこうな力が必要なんですね~!556と歯ブラシで削りカスを落としながらなんとか修正できました。
あと、M12のピッチ1.25のダイスって普通に売ってない。ストレートまで行ってようやく見つけました。
(STRAIGHT/ストレート) HSSダイス M12×1.25 18-8122
それでもってエンジン装着!!!
ちゃんと動きました…!!!
自作ガスケットのせいかケースのキズのせいか、ちょっとギアオイルが漏れますが、ちゃんと動きます。
壊れてから1ヵ月、色々な試行錯誤を繰り返しながらようやくここまでたどり着きました。自分で組み立てたバイクが動くって、とっても感動モノですね~~~!!!!
これでいつ壊れても直せます。どーんと来いですね。